一般社団法人 放送人の会

アーカイブ:放送人グランプリ


毎年度の放送番組の中から、「放送人の会」会員が推薦した番組を審査し、顕彰する。"放送人の放送人による放送人のための賞"。毎回、審査員と受賞者の心のこもった言葉の響き合いが参加者を感動させてきた。
放送人グランプリ2019(第18回)
【グランプリ】 北川 悦吏子(脚本家)
NHK連続テレビ小説(2018年度前期)「半分、青い。」の脚本の力を高く評価したい。
北川悦吏子さんは1990年代後半から2010年にかけて「あすなろ白書」や「ビューティフルライフ」などのヒット作を書き、<恋愛の名手>と呼ばれたが、難病と闘いながら執筆を続けた。
「半分、青い。」の中で、ヒロイン楡野鈴愛(永野芽郁)が、片方の耳が聞こえないという障害を持ちながら、雨の中、傘の音を聞きながら「空の半分には雨が降っていない。半分、青い。」というシーンには、作者自身の難病の体験が踏まえられている。
「半分、青い。」の世界は1971年~2011年までの40年間の時代を映し出した、優れた青春ドラマであり、作家、北川悦吏子の半生を投影した傑作であるとして、グランプリを贈りたい。
(講評担当:西村与志木)
【準グランプリ】 「ポツンと一軒家」ABCテレビ
衛星写真で見つけた山奥にポツンとある一軒家。どんな人が住み、どんな暮らしをしているのか。端的で明解なこの企画が、日曜日の20時台という目抜き通りで、多くの視聴者を惹き付けた。
一軒家に辿り着くまで、険しい山道を行くスリル、誰がそこに居るのか、不安と危険が一杯のサスペンス、地元の素朴な人情にも助けられ、優れたドラマを見る様である。
やっと出会えた一軒家の住人は、皆それぞれに人生の明暗を経てきたヒューマンストーリーを持っていた。なんの飾りもない生の声からその豊かなキャラクターが伝わってくる。奥深い山で、奥深い哲学、祖先からの系譜、市井の日本人が見える、なんとも奥深いドキュメントである。
限界集落、老いと病、孤独死…、背後にある厳しい現実を背負いながら、番組は、決して声高に叫ぶことも、押しつけがましさもなく、淡々と逞しく生きている住人たちを描出する。観る人に様々な想いと感動を起こさせる一級品である。
番組ⅯⅭの所ジョージ、林修とゲストのスタジオトーク、地味な現場の取材ディレクターをはじめとする全ての制作スタッフ・キャスト、その努力に拍手である。
(講評担当:佐々木彰)
【優秀賞】 「森本毅郎・スタンバイ!」TBSラジオ
1990年4月スタート以来30年、今も首都圏ラジオで放送し続けている、“朝番組の金字塔” です。
キャスターの森本毅郎さんの存在感、アシスタントの遠藤泰子さんの安心感、充実のコメンテーター陣、スタッフ全員のチームワークの良さが魅力です。聴取率も常に好調で、首都圏では毎回1位~3位を占めており、報道番組の手本となっています。
朝はラジオのゴールデンタイム。早朝の時間帯が好調であれば、その放送局を続けて聴くのがラジオです。
つまり、朝を制する局が聴取率の勝者となります。首都圏の聴取率調査で、17年以上、首位をキープするTBSラジオの、まさに原動力となっている番組です。
6時30分から8時30分まで、ニュースに真正面から向き合い、コメントは直球勝負。常に庶民感覚の目線を忘れない「聞く朝刊」です。取材の最前線で活躍する日替わりコメンテーターを森本さんが巧みにリードし、時の政権も厳しく批判し、ズバリとモノ申します。6時57分からの「朝刊読み比べ」は、森本さんが朝刊各紙を2分間で縦横ぶった斬り。朝から胸の奥がスッキリします。 7時からは、日替わりのコメンテーターによる、切れ味鋭い解説コーナー「ニュースズームアップ」。経験豊富なジャーナリストが、本物の情報とその見方を示してくれるので、自分の視点を持つ上で、聴いて得した気分になれる番組です。長きに渡りバランス感覚に優れた報道番組を放送し続ける功績を称えます。
(講評担当:三原 治)
【企画賞】 「チコちゃんに叱られる!」NHK
視聴者の好みも細分化され、もはや3世代揃って楽しめる番組は不可能かと誰もが思っていたところへ、突如現れた5さいの女の子チコちゃんは「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と日本国民を打擲し、目覚めさせてくれました。人形劇、着ぐるみというNHKの伝統にCGという最先端の技術を融合させ、懐かしくも新しい、視聴者に愛される番組を企画したことに対してーー。
5さいの女の子チコちゃんが、質問に答えられないと、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とオトナを叱る雑学バラエティ番組「チコちゃんに叱られる!」。5さいらしからぬ語彙力と巧みな表現力、可愛くもくせの強いチコちゃんに日本中が魅了されました。テレビから生まれた平成最後のスター・チコちゃんは瞬く間に人気者に。おかっぱの髪型やおませな口ぶりに、昭和の香りを感じさせながらも、CGを駆使してくるくる変わる表情に視聴者は驚かされました。緻密な取材力と遊び心満載の演出。その塩梅がちょうどよく、視聴者も「チコちゃんワールド」に引き込まれ、気がつけば誰もが5さいに、テレビと視聴者が共犯関係になる楽しさを、久々に思い出させてくれました。
知識を問うのではなく、日常の気づきを話題にすることで、小さな子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、3世代がファミリーで楽しめる番組です。
(講評担当:桧山珠美)
【奨励賞】 下村幸子(NHKエンタープライズEP)
BS1スペシャル「在宅死“死に際の医療”200日の記録」(NHK-BS1)などの優れた番組制作による。
医療費拡大に悩む政府は、患者の在宅治療を勧めるが、その背後には様々な課題が横たわっている。下村幸子(さちこ)さんは、人間の在宅死とその背景を探って一人カメラを回す。番組の中心は全盲の娘を一人残して死んでゆく老人と、森鴎外の孫のベテラン訪問医の話である。肺がん末期の父親の世話をするのは全盲の娘。医師はその娘に父親の病状については専ら語り、患者との会話はほとんど庭先の百目柿の熟し具合と季節の移ろいの話である。 
それが命の終焉を迎える微妙な感情を伝えて胸を打つ。下村さんは人間誰しも直面する死に際の医療の複雑な問題に、改めて丁重に光を当てた。
(講評担当:河野尚行)
【特別賞】 相田 洋(フリープロデューサー&ディレクター)
NHKの相田 洋(あいだ ゆたか)ディレクターが、独自の感性と野心とで南米移民船の同乗取材を試み、ドキュメンタリー番組『乗船名簿AR-29』で好評を得たのは1968年。以来相田氏は、10年毎に、移住者たちを現地に訪ね、新天地開拓に励む入植実態の紆余曲折を定点レポートして、注目されてきました。
その稀有な長期取材が満50年を迎え、今回『50年目の乗船名簿』4部作に集約されて、昨年末からNHK・Eテレで全4回を放送しました(12/29・1/5・1/26・2/2)。相田氏は、NHK在職中、旺盛な好奇心と精力的な制作手腕で、ヒューマン・ドキュメントから現代科学文明分析まで幅広い番組作りで活躍し、その特異な存在感で名を馳せましたが、中でもこの<乗船名簿>シリーズは、定年退職後20年余りも取材を継続する入魂ぶりで、文字通り氏のライフワークとなりました。
作品は、日本という国の半世紀の激動と切実に絡み合う庶民史の明暗を活写し、人間の営為や社会そのものへの感慨を呼び起こす大河ドキュメンタリーです。内容は目配り広く実証的で資料性も優れ、放送史上特記に価するユニークな成果の一つと言えます。相田氏は83歳。今なお衰えを知らない独立独歩の気概と記録への執念は、同輩・後進を問わず範となり、賞讃に価します。
(講評担当:鈴木典之)
放送人グランプリ2018(第17回)
【グランプリ】 NHKスペシャル
「戦慄の記録 インパール」(8/15、19時30分~、73分)
「本土空襲 全記録」(8/12、21時00分~、49分)
「731部隊の真実~エリート医学者と人体実験」(8/13、21時00分~、49分)
「樺太地上戦 終戦7日間の悲劇」(8/14、20時00分~、43分)
“戦争を知らない子供たち”世代の年長者は今年74歳になる。この世代にとっても、連続4夜のNHKスペシャルの衝撃は大きかったに違いない。
空から石油をまいて火をつけたように都市が焼かれた『本土空襲 全記録』、中国人を人体実験に供した『731部隊の真実』、樺太にソ連軍が侵攻する『樺太地上戦 終戦7日間の悲劇』、そして白骨街道インパールの惨劇『戦慄の記憶インパール』は、戦争の無残さを存分に伝えました。その編成・制作陣の洞察力と熱意をたたえ表彰いたします。
【準グランプリ】 「オールナイトニッポン」50周年(ニッポン放送)
1967年にスタートから50年、深夜放送が若者文化を生んだ金字塔です。この番組が蒔いた新しい才能の種は、多くの分野で花開き、若者文化のみならず、日本の新たなカルチャーを作りました。歴代制作者のフロンティア精神と先見性は卓越しており、ラジオ文化の発展に寄与していることをたたえ表彰いたします。
【優秀賞】 日露共同制作・BTV開局20周年記念特別番組
「ゴンザ~世界最初の露日辞典を作った男~」(BTV)
300年前、ロシアで露日辞典が発刊され、日本語学校が創設されました。 それには、嵐のためカムチャツカ半島に漂着し、日本に戻れなかった、薩摩の少年「ゴンザ」が携わりました。ゴンザのロシアでの軌跡を追った番組は、地域の歴史を再発見すると共に、ユニークなロシア紀行番組を作り上げることになりました。
その独創性をたたえ表彰いたします。
※BTV 宮崎県都城市を中心にグローバルに展開するケーブルテレビ局
【優秀賞】 特集ドラマ 「眩(くらら)~北斎の娘~」(NHK)美術スタッフ
非常に完成度の高い、4K制作のドラマでした。加藤 拓の演出、宮崎あおいらの演技と並んで、とりわけ賞賛に値するのがその美術です。 照明と相まって<陰影>を象徴的に表現した大道具や、小道具の浮世絵の緻密さなどから、スタッフの作品に対する熱い想いを感じさせました。 その労をたたえ表彰いたします。
※ 原作:朝井まかて 「眩」、脚本:大森美香、演出:加藤拓、制作統括:佐野元彦
【特別賞】 小林 克也
1970年にDJデビューして以来、48年にわたりラジオ界、テレビ界の第一線を走り続け、喜寿を迎えた現在も、約9時間の生放送『FUNKY FRIDAY』(NACK5)を始め7本の番組を持っています。まさに、“KING OF DJ” として、放送業界に多大な貢献をした功績をたたえ、特別賞を贈ります。
【企画賞】 「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」(テレビ東京)
この作品は「池の水を全部抜く」という単純な仕掛けで、大量発生している外来種を駆除しただけでなく、住民の地域への愛着を呼び覚ます好結果をもたらしています。 「世界の果てまで行かなくても、ワクワクはある!」という企画の発想は、他の規範となるものであることから、企画賞を贈ります。
放送人グランプリ2017(第16回)
【グランプリ】 池端 俊策(脚本家)
池端脚本には3つの力(ちから)が溢れている。魂を貫く愛に満ちた表現力、人間に対する観察力、登場人物や事態を少しシニカルに見る批判力。 授賞理由となった「夏目漱石の妻」、「百合子さんの絵本~陸軍武官・小野寺夫婦の戦争~」の脚本も然りである。第16回を迎える「放送人グランプリ」において、脚本家を個人で初めて表彰します。
【準グランプリ】 NHKスペシャル「ある文民警察官の死 ~カンボジアPKO23年目の告白~」(NHK)
23年前、カンボジアPKO(国連平和維持活動)に参加した警察官が銃殺されていたことが、この番組で初めて明らかになった。折しも自衛隊の南スーダン派遣が取沙汰されている中での時宣を得た企画で、安保政策が大転換した今、優れた問題提起ドキュメンタリーとして表彰します。
【優秀賞】 延江 浩(エフエム東京 プロデューサー)
池上彰氏の情報整理能力、インタビュー能力をフル回転させて、総選挙開票速報を新しい切り口で知的エンターテインメント番組に仕上げ、選挙のあり方、政治の本質を的確に衝いて、選挙報道を大いに進化させた。
【優秀賞】 NNNドキュメント「お笑い芸人vs.原発事故 マコ&ケンの原発取材2000日」(日本テレビ)
お笑い芸人「おしどり」の夫婦コンビが、東電本社の原発事故定例記者会見に最多出席し、場違いと冷笑される中、猛勉強による鋭い質問で隠れた真実に光を当て続ける“名物記者”として一目置かれる存在になる。その“草の根”活動ぶりが国際的にも注目される。 「3.11」関連特番中、随一の快作として表彰します。
【特別賞】 山田太一ドラマスペシャル「五年目のひとり」(テレビ朝日)
東日本大震災で家族を失った“ひとり”の中年男を通し、未だ癒えない心の傷、複雑な思いを抱えながら生きることの辛さを巧みに描いた。「もう五年じゃない、まだ五年なんだ」、主人公の叫びが響く。 「時は立ちどまらない」から2年。再び結集し「震災を忘れるな」と警鐘を鳴らしてくれたことに対して特別賞を贈ります。
【企画賞】 「サラメシ」(NHK)
“誰にでも昼が来る” “ランチをのぞけば人生が見える”をキャッチフレーズに、都会のサラリーマンだけでなく、様々な職種の現場に入り込み、仕事の中身や家族と職場の人間模様、更には地域や風土の匂いまで、昼食の中に織り込み飽きさせない。 中井貴一のハイテンションのナレーションも効果的だ。他の食べ物番組の追従を許さない企画力を評します。
放送人グランプリ2016(第15回)
【グランプリ】 国谷裕子
1993年4月から23年間続いた「クローズアップ現代」。これだけの期間を一人のキャスターが務めることはアメリカにおいても例を見ない偉業と言えます。バラエティに富んだ日々のテーマは、キャスター自身が深く学び理解しなければ決して務まるものではありません。23年間このポジションを続けられたご苦労は余人には計り知れないものがあると思います。その功績を讃えると共に、しなやかな中に剛直なパワーを持つジャーナリストとしての今後のご活躍に期待を込めて。
【準グランプリ】 NNNドキュメント'15「シリーズ戦後70年南京事件兵士たちの遺言」(日本テレビ)
現在の政治状況のなかで扱いがデリケートになっている南京事件を、当時の現地部隊の兵士が書いた陣中日記によって丁寧に検証。兵士たちの自筆の文字、克明な内容、スケッチ、生存者による証言などの事実を冷静に積み重ね、事件の実像に迫っていくというドキュメンタリーの揺るぎない姿勢を讃えて。
【奨励賞】 手塚孝典(信越放送)
満州事変以後、日本は中国に多数の移民を送り出した。長野県からは最多数の農民や少年義勇兵が駆り出され、集団自決や残留孤児問題などの禍根を残した。その事実を様々な角度から一貫して追い続け、7本の秀作ドキュメンタリーを制作し続けた業績に対して。
【優秀賞】 NHKスペシャル「新・映像の世紀」(NHK)
映像誕生以後100年の世界ニュース映像を集め、現代史の出来事が"映像の記憶によって転換している事実"を実証して衝撃的であると共に、現今の世界の混乱状態が時代の大転換への予兆であることを洞察し、その方向性をも予見していて感動的です。テレビの特性をいかんなく発揮し、テレビジャーナリズムの良心と自負を示す作品として評価します。
【特別賞】 大沢悠里
1986年から30年間もの長きにわたって、TBSラジオで月曜日から金曜日4時間半の生放送『大沢悠里のゆうゆうワイド』で語り続け、「日本一聴かれているラジオ番組」としての不動の地位を築き上げられました。<人情愛情みな情報>という地道で温かいラジオ精神で、この偉業を達成したことを讃えて。
【企画賞】 「100分de 名著」(NHK)
広く名前は知っているものの手に取って読む機会が少ない世界的名著を適格な紹介者を選び4回100分で紹介し、ともすると埋もれがちな名著を掘り起こす事で現代社会に鋭いメッセージを提起する番組の指針を高く評価する。特に、テロの頻発する時代に向け多くの共鳴者を得た「100分de 平和論」の企画力を讃えて。
【奨励賞】 「人生の楽園」(テレビ朝日)
テレビドラマが普通の人々の普通の暮らしぶりを描かなくなり、若者に迎合しがちな昨今、田舎暮らしや新たな挑戦などの第2の人生をいかに生きるか、様々な人たちの選択を掲示するこの番組は、貴重な大人の解放区として、視聴者の人生にひと時の楽園をもたらした功績に敬意を表して。
放送人グランプリ2015(第14回)
【グランプリ】 「サンデーモーニング」(TBS) 出演者とスタッフ
メディアの報道姿勢の変容が危惧される昨今、落ち着きと中庸を貫くこの長寿番組が輝きを放って、確かな存在感を示しています。メインキャスター・関口宏さんの穏やかな仕切りが、個性派コメンテーターたちの専門分野の知見と自由な発言を絶妙にさばいて、上質な知のサロンの雰囲気を醸しています。28年にわたって確かな制作理念を作り上げてきた出演者とスタッフの努力を讃えます。
【準グランプリ】 「女たちのシベリア抑留」(NHK) 小柳ちひろ
50万人を超えるシベリア抑留者の中に、数百人の女性が含まれていたという事実がこの番組によって明らかになりました。丹念で緻密なインタビューと取材とによって、女性たちが酷寒と飢餓、重労働に耐え抜いて帰国した事情が浮かびあがってきました。証言者はいずれも九十歳前後と高齢ながら、彼女たちの聡明かつ力強い姿は、私たちの胸を強く打ちます。
【企画賞】 日曜劇場「おやじの背中」(TBS) 八木康夫
「おやじの背中」は1クールドラマ全盛期に合って、「父親と子」という一つのテーマで、日本を代表する10人の作家による1話完結のドラマを十本並べるという特筆すべき企画です。八木康夫氏が32歳でドラマプロデューサーとなってからのたゆまぬ努力と実績の証明に他なりません。そのプロデューサーとしての力量を讃えます。
【企画賞】 「パリ白熱教室」(NHK)
今、世界で最も人気の高い気鋭の経済学者をいち早く出演させ、日本の格差社会の分析に新しい視座を提供する連続講座を制作。日本のピケティブームの一翼を担った番組制作者の、時代をとらえる企画力は、大いに賞賛に値します。
【優秀賞】 YBCラジオスペシャル「花は咲けども~ある農村フォークグループの40年~」(山形放送)
NHKが制作・放送している復興キャンペーンソング「花は咲く」に、違和感を表明する被災者が増えています。特に原発事故によって故郷に帰れない人たちから「花は咲いても、花に浮かれてはいられない現実がある」という声が強くなっています。この番組は、福島からの避難者が多い隣県の山形県で、米農家の人たちが40年続けるフォークソンググループ「影法師」が作って歌う「花は咲けども」(2013年発表)に焦点をあてながら、明治以来、国によって見捨てられてきた東北の人びとの歴史と気持ちを見事にすくいあげた、秀逸なラジオドキュメンタリーです。
【優秀賞】 「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ) 古立善之
紀行番組に笑いを融合させた「世界の果てまでイッテQ!」や「月曜から夜ふかし」など、次々と人気番組を企画・演出。また既存のタレントに甘んじることなく、番組発の新しい人材を発掘。幅広い世代に愛されるバラエティ番組を創り出す姿勢と成果を讃えて。
 
放送人グランプリ2014(第13回)
【グランプリ】 テレビ朝日開局55周年記念 山田太一ドラマスペシャル「時は立ちどまらない」(テレビ朝日)制作チーム
東日本大震災が二つの家族に与えた衝撃と喪失感、現実を踏まえて彼らがなお生きようとする努力が、人びとと地域の再生のかなめとして描かれます。よくねられた脚本の視点を最大限生かしながら、感動的なドラマに仕上げた制作チームの熱意をたたえて。
【準グランプリ】 NHKスペシャル「終わりなき被爆との闘い~被爆者と医師の68年~」(NHK広島)制作スタッフ
68年前に浴びた一瞬の放射線が遺伝子を傷つけ、被爆者のなかでいまなお爆発する難病MDSと、それと闘いつづける医師を描いたこのドキュメンタリーは、21世紀のこの国と人びとに重いメッセージを投げかけています。それを掘り起こした制作スタッフに敬意を表して。
【優秀賞】 土曜ドラマ「足尾から来た女」制作スタッフ(NHK)
すぐれたテレビドラマは、物語の豊かさと時代への認識を刺激し、ある種の報道性を帯びてきます。「よく見ておけ、これが今の日本だ」という田中正造のセリフが、そのまま現在の日本の風景を想起させ、その像は現代の<義人の不在>を告発するかのようでした。
【優秀賞】 ラジオ特別報道番組「原発作業員が語る二年」(毎日放送)森崎俊雄
高い放射能量、五次六次という下請け構造のなかで働く原発作業員たちの声を、ラジオという特性を生かし、福島原発の事故と現在としてみごとに描き出しました。大阪から現地へ通い続けたねばり強い報道姿勢に敬意を表して。
【企画賞】 「Youは何しに日本へ?」(テレビ東京)制作チーム
成田空港に到着した外国人を同行取材し、海外へ行かずに国際色あふれる番組を作り出す、知恵と労力と柔軟な発想による企画の勝利です。あらためて日本文化・日本の良さに気づかせてくれる点でも、テレビ東京らしさあふれる番組で私たちを楽しませてくれたことに敬意を表して。
【企画賞】 NNNドキュメント'13「離島ナース 医師のいない厳冬を守る」(山形放送)制作スタッフ
島民の大半が高齢者という山形県酒田市沖の離島で、テレビ電話だけをたよりに医師と患者をつなぐ看護師二人。厳冬の海と冬の鳥海山の美しさは、離島医療の貧困と対照的でした。地域をみつめた佳作ドキュメンタリーに敬意を表して。
【特別賞】 倉澤 治雄
ジャーナリストとしての長い経験を活かして、福島原発事故に精力的に取り組み、そのかかえる幾多の問題点を明快に解説するとともに、するどい問題提起を行ってこられました。その科学ジャーナリストとしての姿勢と実績に敬意を表して。
【特別賞】 宮﨑 賢
ハンセン病療養者の療養施設だった岡山の長島愛生園を、カメラマンとして一九七〇年代から40年間撮りつづけ、数々のドキュメンタリー番組、ニュース特集を世に送り出して、ハンセン病に対する社会の偏見と差別を告発しつづけました。そのライフワークに畏敬の念をこめて。
放送人グランプリ2013(第12回)
【グランプリ】 NHKスぺシャル・シリーズ東日本大震災「追跡 復興予算19兆円」制作スタッフ(NHK)
東日本大震災復興予算19兆円の行方を追い、5万ページを超える資料を精査して震災とは無関係の事業に多額の予算が使われていることを暴き、日本の官僚機構の体質を喝破した優れた調査報道。
【優秀賞】 「復興の狭間で~神戸まちづくりの教訓」西村美智子(朝日放送)
神戸市長田区で阪神淡路大震災の後の再開発ビルが商店街の人々の生活を押し潰している実態を描きつつ、同じ公共事業の冷酷さが被災地・気仙沼市に襲いかかろうとしている様子を生々しく捉えた警告ドキュメンタリー。
【奨励賞】 「衆院選スペシャル・池上彰の総選挙ライブ」特別番組チーム(テレビ東京)
池上彰氏の情報整理能力、インタビュー能力をフル回転させて、総選挙開票速報を新しい切り口で知的エンターテインメント番組に仕上げ、選挙のあり方、政治の本質を的確に衝いて、選挙報道を大いに進化させた。
【奨励賞】 「全日本なまり歌トーナメント」制作スタッフ(テレビ朝日)
誰でも知っている名曲を歌い手自ら方言に直して熱唱するというユニークな番組を制作し、『訛りっていいな』という思いが人々に伝わり、地方文化への愛と尊敬の念を表現した企画制作。
【企画賞】 NHK東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」制作スタッフ
東北出身のタレントたちが歌いつなぐ一つのメロディーが、被災地に届き、人々が口ずさみ、甲子園球児の行進曲にまでなった。『花は、花は、花は咲く、いつか恋する君のために』の歌詞を通して改めて歌の力、放送の力を知らせた。
【特別賞】 「希望の翼~あの時、ぼくらは13歳だった」制作スタッフ(テレビ神奈川)
日本統治下の朝鮮で芽生えた二人の少年の友情が、41年後の再会で復活、両国の文化交流に尽くす実話を、すぐれた日韓共同制作ドキュメンタリードラマに結実させた。
【特別賞】 「BS歴史館」の司会・渡辺真理(NHK)
研究者や各界の歴史好きが薀蓄を傾ける座談形式のこの番組における旺盛な好奇心に目を輝かせ、巧みな会話さばきでゲストの口を滑らかにする司会ぶりが、新しい歴史番組ファンをつくりだしている。
【特別功労賞】 音響効果への長年の貢献・玉井和雄
火の鳥の飛翔の音、日食の音など、現実には音のないものにまで広げた効果音の世界を作り出し、『音の匠』として、他の追随を許さない豊かなイメージの世界に挑みつづけてきた功績。
放送人グランプリ2012(第11回)
【グランプリ】 増田秀樹様(NHK)
あなたは、ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」「原発事故への道程」シリーズで、大地と海が深く傷ついている原発事故の実態と、日本の原発安全神話が作られた政治的経済的プロセスを、するどく描き出しました。その得がたい成果を讃えて。
【準グランプリ】 岩城浩幸、秋山浩之と73人の記者の皆様(TBS、JNNネットワーク)
あなたがたは「3.11大震災~記者たちの眼差し」で、各局の若手記者たちの主観的で個人的なリポートをあえて多数積み重ね、震災の惨状と深刻な意味を客観報道とはちがう生々しさで伝えました。その新鮮な手法の成功を讃えて。
【特別賞】 ドラマ「カーネーション」制作スタッフ様(NHK)
連続テレビ小説の常套的なヒロイン像を大胆に打破、だんじりの上で命がけの跳躍をする大工方のイメージそのままのユニークなヒロインを作り出すとともに、戦争や死の描き方も単なる情緒的表現をこえて新鮮なものがありました。制作スタッフによるその成果を讃えて。
【奨励賞】 登坂琢磨様、竹園元様(毎日放送)
ドラマ「深夜食堂」は、味わいが一色になりがちなテレビドラマ界に、小気味よい新風を送り込みました。映画監督の起用、個性的キャスト、セット細部の凝りようなどがひとつの世界をつくり出し、製作委員会方式によるドラマ制作という試みも成功させました。その成果を讃えて。
【奨励賞】 島修一様(毎日放送)
あなたは、小松左京原作の「日本アパッチ族」を脚色・演出し、ユーモアとアイロニイと恐怖に満ちた魅力的な「鉄になる日」に仕立てました。鉄を食う音、戦闘シーンの効果音などもラジオドラマの可能性を再発見させるものがあります。その成果を讃えて。


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