一般社団法人 放送人の会

アーカイブ:放送人グランプリ


毎年度の放送番組の中から、「放送人の会」会員が推薦した番組を審査し、顕彰する。"放送人の放送人による放送人のための賞"。毎回、審査員と受賞者の心のこもった言葉の響き合いが参加者を感動させてきた。
放送人グランプリ2022(第21回)
【グランプリ 大賞】 土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」
放送日:2021年4月24日~5月29日NHK総合(全5回)。
作:渡辺あや、音楽:清水靖晃、語り:伊武雅刀、制作統括:勝田夏子、訓覇圭、演出:柴田岳志、堀切園健太郎、 美術:小林史幸、岡島太郎、技術:小笠原洋一、増田徹、音響効果:島津楽貴、太田岳二、制作:NEP、制作著作:NHK、 出演:松坂桃李、鈴木杏、渡辺いっけい、高橋和也、池田成志、/國村隼/、古舘寬治、岩松了、松重豊、(ゲスト)国広富之、辰巳琢郎、嶋田久作、ほか。

 ドラマの醍醐味は読後感にあります。如何に長く、ドラマから受けた「心の反応」が持続するか、それがどれだけ充実しているかが、ドラマの良しあしを決めると言っていいでしょう。この作品は、その読後感の極めてよいドラマです。

 組織を維持発展させるためには、正義に目をつぶり、嘘を嘘と認めず、隠蔽を図り、虚名を求め、忖度と自己保身に走る理事たちによって腐り始めた大学と、その再建のために雇われた元テレビキャスター、中身は空っぽだが、好感度だけはよろしい、というこの主人公は、今ここにある危機にどう対処できるのか。

 ドラマは、コロナ禍における思考停止状態の政治や社会、そして多数派に同調し少数者を切り捨てる日本人の今に重ねた風刺劇の仕立てだが、登場人物の一人一人がドラマの中で進化していくさまが描かれ、深く考えさせるドラマです。先見性と寓意性に満ちた脚本の渡辺あやさんはじめ、定型に陥らない役者たちの優れた演技、それらを構想し設計し、タイムリーで硬質な作品に仕上げた制作陣のゆるぎない視点の確かさと高い志に対して大賞を贈賞します。
【グランプリ 優秀賞】 第36回民教協スペシャル「ハマのドン”最後の闘い”―博打は許さないー」
放送日:2022年2月5日(土)10:30~11:25 (テレビ朝日)
プロデューサー:江口英明、ディレクター:松原文枝、民間放送教育協会:雪竹弘一、ナレーション:リリー・フランキー

 番組は、カジノ誘致問題に揺れた昨年夏の横浜市長選で、反対の急先鋒となった“ハマのドン”こと藤木幸夫氏の選挙戦を、一年間の取材で追ったドキュメントです。
 横浜の港湾の荷役をとりまとめ、歴代の総理経験者や地元政財界に顔が利く保守の重鎮が“時の政権”と袂を分かち、市民を味方につけ、戦いを挑んだ理由は何だったのか、その生い立ちや港湾横浜の歴史を織り込んで、舞台裏の攻防を見事に活写し、知られざる「政治の裏側」や若者たちを中心とした「市民の行動する力」を知らしめた制作者の執念と、優れた企画の選奨を長年続ける「民間放送教育協会」の努力をたたえます。
【グランプリ 優秀賞】 ETV特集 「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」
放送日:2021年7月31日(NHKEテレ)、プロデューサー:真野修一、ディレクター:青山浩平、持丸彰子

 コロナ禍では普段見ることのできない社会の矛盾が露わになる。
 この番組は、都立松沢病院のコロナ専門病棟にカメラを据え、日本の精神医療の矛盾を凝視している。精神疾患があり、一般の病院の受け入れが困難とされた人たちが次々に運び込まれてくる。元々いた精神科病院では、南京錠をかけて閉じ込める、オムツ交換も頻繁にしてくれない、など過酷な実態が明らかになる。

 ディレクターの青山浩平は、「長すぎた病院〜精神医療・知られざる実態〜」(18年2月)で精神医療の長期入院の実態を告発したが、今回も病院にしか居場所のない患者、逼迫する医療体制の中で葛藤する医療従事者たち、行き届かない行政の実態に迫っている。持丸彰子ディレクターの粘り強い密着取材も光っている。

 日本の精神医療の遅れを問題提起した優れた調査報道ドキュメンタリーであり、コロナ禍でもっとも光の当たらない影の部分に迫った力作と評価します。
【グランプリ 優秀賞】 News Sapiens緊急スペシャル「花はどこへ行った」
放送日:2022年3月9日(TOKYO FM)、
報道・情報センター部長:原田洋子、編成制作局ゼネラルプロデューサー:延江浩、パーソナリティー:ピーター・バラカン、
ゲスト出演:カテリーナ(バンドゥーラ演奏家)、 坂田 明(サックス奏者)、沼田恭子(ロシア文学者)
 
 ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まったのが2月24日。その2週間後の3月9日に番組は放送された。
 タイトルの『花はどこへ行った』は、米国のフォークシンガーのピート・シーガーが現在のウクライナに当たるコサックの民謡の歌詞にヒントを得たという世界で一番有名な反戦歌である。

 ウクライナ戦争が激化する中で反戦の意志を込めた番組はタイムリーであり、その意義は大きい。平和や反戦をテーマに急遽、制作・放送されたこの番組では、ゲストたちが、反戦の思いを込めて、歌い、演奏し、語った。ラジオに、音楽に何ができるのか。機動力と瞬発力こそラジオの利点である。
 「戦争をやめよう」と番組を聴いた人たちの願いが広がるだけで意味があるのではないのか。そう感じさせてくれた制作スタッフに敬意を表したい。
【グランプリ 特別賞】 遠藤 隆 (株式会社 テレビ岩手 報道特別プロデューサー)
 遠藤隆さんは1956年東京生まれ。テレビ岩手で専ら報道畑を歩んできた。日本テレビ系の「NNNドキュメント」シリーズには1987年、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性を主人公にした「両手に力をください」でデビュー。以来、ディレクターとして計29本を手がけ、1996年放送の「列島検証 破壊される海」はギャラクシー大賞を受賞した。

 特筆されるのは、北上山地で酪農を営む大家族を四半世紀にわたって追い続けたシリーズである。この「貧乏に幸あれ~ガンコ親父と7人の子どもたち~」などは数々の賞を受賞し、2019年、ドキュメンタリー映画「山懐に抱かれて」として公開された。
 また、東日本大震災から10年、監督2作目の「たゆたえども沈まず」のテレビ版は2021年度の芸術祭賞テレビ・ドキュメンタリー部門の大賞に輝いた。
 報道一筋40年、民放ジャーナリズムの神髄を体現し続ける努力をたたえます。
【グランプリ 特別賞】 大浦 勝 (株式会社テレビ長崎 取締役)
 大浦勝さんは1955年佐賀県生まれ、技術職としてテレビ長崎に入社。報道制作部に異動して以来、ウィークリーの生ワイド番組を担当しながら、ドラマからドキュメンタリーまであらゆる分野に亘って、多くの特集番組を制作してきた。

 特に離島の暮らしと自然に着目したドキュメンタリー作品のうち、五島で製麺業を営む9人家族を四半世紀にわたって継続取材した「五島のトラさん」は様々な賞を受賞し、2017年に映画版として上映され、文化庁「文化記録映画大賞」を受賞し、海外22か国で上映された。

 今も、後輩を指導しながら、数々の特集番組を担当する一方、自らカメラを回しながら、自転車で地域の暮らしをリポートする「自転車小旅」を制作している。
 地域課題と視聴者と常に向き合い、丁寧に応えるという、地域に密着した放送人としての長年の努力を称賛します。
【グランプリ 特別賞】 富澤 一誠 (株式会社アイ・ティオフィス代表)
 1970年以降、団塊世代によるフォーク、ニューミュージック、そして現在のJ-POPへと変わりつつある時代に至るまで、ラジオはその若者たちの音楽を応援することによって黄金期を作って来た。
 そのJ-POPをラジオと共に育ててきた人物が富澤一誠さんだ。氏は1971年、音楽誌へ投稿したことを機に、約50年間にわたり音楽評論活動に専念してきた。そして現在は雑誌・単行本からTV・ラジオ等幅広く活躍している。

 この半世紀、プロデューサー、パーソナリティーとして音楽シーンを追い続け“歴史の証人”として、歌謡曲、フォーク、ニューミュージック、ポップスの変遷と、その時代時代のヒット曲が生まれる背景などを紐解き、“音楽のスポークスマン”として伝えてきた富澤一誠さんの音楽評論家活動50年を心より称え、贈賞します。
【グランプリ 特別賞】 NHK大型企画開発センター オープンソース調査(OSINT)チーム
      統括プロデューサー:中村直文  チーフプロデューサー:善家 賢
 世界的な新型コロナ感染爆発の中で、この1年は世界史を揺るがす大事件が続出した。直接取材班を送り込めない状況で、全く新たな調査報道の在り方を模索したのがNHKスペシャルのオープンソース調査(OSINT)チームである。

 昨年4月4日放送・NHKスペシャルチーム「緊迫ミャンマー 市民たちのデジタル・レジスタンス」。8月22日放送・NHKスペシャル「混迷ミャンマー 軍“弾圧”の闇に迫る」。12月18日放送・NHKスペシャル「中国新世紀・第5回“多民族国家”の葛藤」。今年3月20日放送・NHKスペシャル「ウクライナ 深まる危機~“プーチンの戦争”市民はいま~」。

 以上の一連の番組は、SNSを飛び交う無数の市民たちが投稿した映像を収集し、ファクトチェックし、独自に映像をアーカイブ化し、そのメタデータに加え、衛星から見た俯瞰データや証言などを合わせ、事の真相に迫った地道な作業から生まれた。

 瞬時に飛び交う膨大なSNS情報を堰き止め丹念に整理し真偽を探り記録として残す、そして分析結果を放送波に乗せ、世に示す。この手法は膨れ上がる情報社会の中で放送波の果たす重要な役割だ。高く評価します。
放送人グランプリ2021(第20回)
【グランプリ 大賞】 金本麻理子
 戦争という巨大な力に振り回される市民の姿を、自らカメラを回し追い続けるディレクター・金本麻理子さんの仕事が、2020年は「レバノンからのSOS~コロナ禍 追い詰められるシリア難民~」(NHKBS1スペシャル7月)、「世界は私たちを忘れた~追いつめられるシリア難民~」(NHKスペシャル 10月)という形で結実したことを評価する。
 金本ディレクターの人の懐に飛び込む能力、特に家庭の中に入りこみ日常を撮影する力は傑出している。今回も「撮る力」がフルに発揮され、売春、臓器売買、DVなど壮絶な難民キャンプでの実態が記録された。撮影中に起こったコロナ感染拡大は、弱者として切り捨てられる人々の姿をさらに炙り出した。世界で最も過酷な現場に、一人カメラを持ち込み、女性と子どもに寄り添い、映像記録した意義は大きい。
 金本氏には、原点となる二つの番組がある。一つは「マニラ市街戦~死者12万 焦土への一ヶ月~」(2007年)、この取材を通し、戦争を大上段に構えず一人の市民とその家族を通し描いて行く覚悟が生まれた。もう一つの原点が「お母さんに会いたい~フィリピン・ムスリムの兄と妹~」(アジアに生きる子供たち 2004年)。金本氏はこのシリーズを通して自らカメラを回す手法を身につけた。2020年放送された番組は その一つの結実である。
<経歴>
1990年代から、主にNHKBSでドキュメンタリー作品を制作。/2004年NHKBS1・BSドキュメンタリー「アジアに生きる子供たち」シリーズの「お母さんに会いたい~フィリピン・ムスリムの兄と妹~」で注目される。
(主な作品)2007年NHK BS・ハイビジョン特集「証言記録 マニラ市街戦」。/2011年NHK BS戦争証言スペシャル「運命の22日間~サハリン(樺太)はこうして占領された~」。/2017年BS1スペシャル「父を探して~日系オランダ人 終わらない戦争~」。/2020年NHKスペシャル「世界は私たちを忘れた~追いつめられるシリア難民~」。2020年NHKBS1「レバノンからのSOS~コロナ禍 追いつめられるシリア難民~」等。以上の作品で数々の作品賞を受賞。
2007年度 放送ウーマン賞。2010年、制作会社「椿プロ」を設立、現在に至る。
【グランプリ 優秀賞】 南海放送ラジオ報道特別番組「感染-正義とは何か-」
 この番組は、新型コロナをめぐる差別をテーマにしたもので、5月30日に南海放送ラジオで放送された。2020年3月2日、愛媛県最南端の人口およそ2万人の愛南町で、県内初となる新型コロナウイルスの感染者が確認されて以降、県内の雰囲気は一変する。
直接的、間接的に感染への恐怖から根拠のない誹謗中傷や差別も拡大し、「感染者は誹謗中傷に耐えられなくなって自殺したらしい」という噂が飛び交い、感染者がその日のうちに特定されることもあった。精神科病院や高齢者施設でクラスターが発生すると、「こんな施設閉めてしまえ」という声も出るなど、ウイルスの感染スピードを遥かに超える速さで、誹謗中傷などの人権侵害が拡散していく。
愛媛県内で起こった複数の問題を起点に、約100年前の四国お遍路さんに対する感染症差別やハンセン病患者の過去の歴史を紐解きながら、差別と感染症のつながりを深く掘り下げていく。新型コロナウイルスの本当の恐ろしさは、ウイルス自体だけではなく、人間が人間の思考を失うことである。人権侵害は、それぞれの「正義」に基づいて広がる。本来は人を守るはずの「正義」が、人を攻撃していく。
この緊急特番は、丁寧な取材をもとに、感染症に怯える人間の闇の部分を描き、新型コロナウイルスから人の「正義」とは何かを問う、ラジオドキュメンタリーの傑作となった。
 放送日:2020年5月30 日(土)、
 山内孝雄(企画・統括)、植田竜一(ディレクター・取材)、中武正和(取材)、永野彰子(ナレーション)
【グランプリ 優秀賞】 人生最高の贈りもの
 東京で一人暮らしをする父(寺尾聰)のもとに、長野で夫(向井理)と暮している筈の一人娘(石原さとみ)が突然帰ってきた。帰省の理由も、いつまでとの時期も言わずに…。戸惑う父は娘の真意を掴めない。実は、娘は、余命わずかと宣告された残りの人生を、夫と父、それぞれと過ごそうとしていた。  娘と父のぎこちない関係は、二人の俳優の名演で微笑ましく楽しく描かれる。多くの食事と料理のシーンは、平和に続く日常性を想起させるが、永遠に続く日常などはどこにもない。必ず来る日常性の終わりが絶えず忍び込んでいる。温かさや優しさの奥に静かな悲しみがある。大事件や激しい波瀾万丈のドラマ展開はなくても、人間の心の機微に優しく触れていく人間の繋がりが伝わってくる。
 番組のラスト、別れは必ず訪れる。長野に向かう娘は、『大丈夫』という言葉に万感を込めて明るく元気に父と別れる。滲み出る石原さとみの涙は美しい。
 最近は少なくなったが、日本のホームドラマの温かい心髄を思い起させる作品である。石橋冠演出、岡田惠和脚本、八木康夫プロデューサー、テレビドラマの達人たちと、そのスタッフの努力、更に実現困難な、この種の企画を制作放送したテレビ東京、ホリプロの英断も含めて、称賛したい。
 放送日:2021年1月4日(月)「新春ドラマスペシャル」、制作放送:テレビ東京
 脚本:岡田惠和、プロデユーサー:中川順平、田淵俊彦、八木康夫(オッティモ)、平部隆明(ホリプロ)、演出:石橋 冠
【グランプリ 優秀賞】 ワタシたちは ガイジンじゃない!
 100年前、新しい天地を求めブラジルに渡った日系ブラジル人の3世4世たちが、30年前、バブル期の労働力を海外に求める日本の要請で祖国に戻り、定住を始めた。
 以来、彼らは経済の荒波に翻弄され、日本社会から、時には差別切り捨ての対象にされるなどの辛酸をなめてきた。
 <ものづくり中部>の中心地名古屋は、東京に次いで外国人労働者が多く、在日ブラジル人も多く定住する。彼らが描く夢と厳しい現実を継続取材し、多くの番組を制作してきたNHK名古屋放送局は、今回、彼らが住む団地に俄か舞台を設け、宮藤官九郎の脚本で、イッセー尾形が彼らの30年間のドラマを一人芝居の形で演じ、それを団地のブラジル人自身が観覧するという、ユニークな中継スタイルの番組を制作した。
 慣れぬ祖国に戸惑いながら、懸命に馴染もうとする団地の生活、職を失い孤独死する男の独白など、演じられる一人芝居と、それを見る団地のブラジル人の表情から、「ガイジンじゃなく同じニンゲンじゃないか」という、彼らの心の叫びが聞こえる。コロナ禍の中で、弱者にこそしわ寄せがいく、現代の病巣にまで繋げて見せてくれる番組であった。
 これまでの取材の深さに加え、この番組スタイルを着想したドキュメンタリー、ドラマ双方の<垣根を超えた制作者の知恵の交換>と、宮藤官九郎とイッセー尾形という二人の才能を結び付けた<新しいテレビを目指す努力>を称賛したい。
 放送日:2020年12月29日、放送:NHKBS1、制作:NHK名古屋放送局
 制作統括:板垣淑子-、三鬼一希、取材:植村優香、演出:川上 剛、脚本:宮藤官九郎、出演:イッセー尾形ほか
【グランプリ 特別賞】 市村 元
 市村 元(はじめ)氏は、村木良彦氏から引きつぎ、13年という長きにわたり「地方の時代」映像祭のプロデューサーを務めてきた。1980年川崎市で始まった「地方の時代」映像祭は、2007年から大阪吹田市の関西大学を会場に開かれている。放送局、ケーブルテレビ、市民・学生、高校生の4つの部門に分かれ、地域的にも年齢的にも実に幅広く日本の映像文化の発展に寄与してきた。
 市村プロデューサーの仕事は資金集めから、作品募集、300点を越える番組審査・贈呈式の段取り、およそ10日間に及ぶ一般公開・シンポジウムの開催、その記録のまとめ・報告書作りと実に多方面にわたり、まさに放送事業の総合的な力量が必要とされるものである。TBS時代は、パリ支局長、「ニュース23」「報道特集」のプロデューサーとして、テレビユー福島常務取締役という地方局経営者として幅広い人脈を築き、現職の関西大学客員教授としては若い世代の育成に大きな力を発揮してきた彼の幅広い経歴は、そのまま「地方の時代」映像祭に遺憾無く生かされている。
 「地方の時代」映像祭が昨秋第40回を迎えてなお、その規模・内容を維持し発展させているのは、プロデューサー市村氏の並々ならぬ熱意と持続力、そして放送人としての豊富な経験と類い稀なる能力によるものである。
<経歴>
TBS報道局記者、パリ支局長を経て、「ニュ-ス23」担当部長、「報道特集」プロデューサーを歴任。その後テレビビュー福島常務取締役。2009年から、「地方の時代」映像祭プロデューサー、関西大学客員教授。
【グランプリ 特別賞】 NHK東日本大震災プロジェクト
 震災直後に組織横断的プロジェクトとして発足した『NHK東日本大震災プロジェクト』は、幅広い視野で震災に向き合い、被災地の復興支援を目指して10年にわたり継続的に活動してきた。被災地を忘れないための放送、被災地に笑顔を届けるイベントのほか、全国の人々と被災地をつなげるキャンペーンや、世界に震災後の日本を伝える取り組み、さらには震災を記録し将来の防災を考える企画など、その活動はまさに公共放送としての真価を発揮するものである。
 毎週日曜朝の「明日へ つなげよう」。レギュラーシリーズ『証言記録 東日本大震災(97回)』、『ふるさとグングン!』、『サンドイッチマンの東北酒場で逢いましょう』のほか様々なテーマやジャンルで制作、東北を始め大阪や熊本など地方局も参加し、およそ370本を放送。月~木5分の「あの日 わたしは~証言記録 東日本大震災~」は、2012年1月に第1回を放送後、およそ1,100本を放送した。「復興支援ソング『花は咲く』キャンペーン」では、著作権者の厚意で2億9,700万円余を義援金として被災地に届けている。また、「『こころフォト』プロジェクト」や、ATP加盟各社制作の「『未来への手紙』シリーズ」。また、事業と連携した「大型イベント『公開復興サポート』」では人気番組の公開収録や展示を16回開催し、のべ11万人近い来場者となり、地元の皆さんに楽しんでいただくと共に、開催地の魅力を全国に発信してきた。
 この大きく豊かなプロジェクトの活動と、それを支えたスタッフ、事務局の皆さんすべてに、敬意を表して『グランプリ特別賞』を贈りたい。
<関連部局・団体>
東日本大震災プロジェクト事務局、放送総局、視聴者総局、地方局などの各部局、
NHKエンタープライズ、NHKエデュケーショナル、グローバルメディアサービスなど関連団体、各制作プロダクション団体。
放送人グランプリ2020(第19回)
【グランプリ】 「フジテレビヤングシナリオ大賞」
 1987年第1回受賞の坂元裕二さん以来、31回の本年まで絶えることなく、数多くの実力ある人気脚本家を輩出しました。とりわけ、昨年は第15回受賞の安達奈緒子さんが、「きのう何食べた」(テレビ東京)・「サギデカ」(NHK)・「G線上のあなたと私」(TBS)の色合いの異なる3作品で、絶妙なセリフとストーリー展開で個性を発揮しました。
 また、第22回受賞の野木亜紀子さんは昨年、第37回向田邦子賞を受賞し、第16回受賞の金子茂樹さんは、本年4月に第38回向田邦子賞を受賞しました。連続の向田賞でした。 毎年多くの有望な作家たちを生み出した、その見識と、その後の育成の功績を讃えて、グランプリに推奨します。
(講評担当:佐々木彰)
【準グランプリ】 ETV特集「武器ではなく 命の水を ~医師・中村哲とアフガニスタン~」を制作した日本電波ニュース社と、急遽、再放送したNHKETV特集班
 日本電波ニュース社は1998年、パキスタン・アフガン国境山岳地帯で巡回診療をする中村哲医師に密着取材したのを皮切りに、アフガンの中村医師の活動を継続取材してきました。その撮影時間は1000時間にも及び、それらは番組としてせき止められ、強い意志で現場で苦闘する・中村医師の存在を世に伝えてきました。
 中村医師は、ここ10年用水路建設に情熱を捧げてきましたが、取材班は本人に密着すると共に、用水路がどのように作られるかを、技術的側面から詳細に記録しました。昨年末、中村氏が急逝した後に、この記録はアフガンの人々の教科書として大きな意味を持つことになりました。
 日本が誇る偉人・中村医師の志を、後世にしっかりと残すことを成し遂げた日本電波ニュース社・谷津賢二カメラマンや制作スタッフの仕事を高く評価します。
 番組は12月4日中村医師が銃撃で亡くなった直後の7日に、2016年9月放送のETV特集を再放送したもので、年内に総合波含め2回再放送して、2月には2001年当時の映像を「こころの時代」で放送の他、ニュース枠等でも放送されました。
追悼と共に遺志を継ぐ活動も広がりを見せています。日本電波ニュース社のアフガン取材は今も続いています。
(講評担当:吉田賢策)
【優秀賞】 NHKスペシャル「全貌 二・二六事件~最高機密文書で迫る~」
 近代日本最大の軍事クーデター「2.26事件」。その全貌が戦後74年を経て、この番組で明らかになった。事件が起こる前から、海軍はそれを察知していたという。もしその事実が、当時明らかになっていれば・・・。この事件を機に陸軍の力が拡大し、日本は無謀な太平洋戦争に突入していった。
 一つの「文書」で、国家存亡の危機に陥ることを描いた秀作ドキュメントだ。
 今の日本に通じるものを感じざるをえない。
(講評担当:八木康夫)
【優秀賞】 BS1スペシャル「女優たちの終わらない夏・終われない夏」
 第2次世界大戦で被災した子供たちの手記を、戦中・戦後初期生まれの女優たちが手弁当で、朗読する巡回公演が、2019年の夏、34年の歴史に幕を下ろした。
 戦後40年の1985年夏、文集「夏の雲は忘れない ヒロシマ・ナガサキ1945年」ほか、様々な文集や手記をもとに、朗読劇「この子たちの夏」が初めて上演され、以後、毎年開催して来たが、上演母体の解散に伴い、2008年に渡辺美佐子、高田敏江、大原ますみ、など有志が「夏の会」を結成し、新しい台本「夏の雲は忘れない」をつくり、毎年夏に全国で巡回公演を続けて来た。
 参加女優の高齢化もあって、公演は終止符を打った。
 番組では、平均年齢80歳以上の女優たちの、〝最後の夏〟の日々に寄り添う。
 各公演では、10人のメンバーから交代で6人が、地元の有志と一緒に出演する。リハーサルと公演を通して、舞台に立つ若い人や応援の地元の人々に、〝幼い友や家族を失う・戦争の惨禍〟を託して行く。
 最後の女優たちは、大橋芳枝、大原ますみ、長内美那子、川口敦子、高田敏江、寺田路恵、日色ともゑ、柳川慶子、山口果林、渡辺美佐子(50音順)。
〈戦争・国家・人生・役者〉など、深い思いを静かに伝える秀作を讃えたい。
(講評担当・菅野高至)
【優秀賞】 「文化放送報道スペシャル 戦争はあった」のパーソナリティー・アーサービナード氏と制作スタッフ
 アメリカ生まれの詩人・アーサービナードさんが、首都圏各地に隠れている<戦争の傷跡>を訪ね歩き、それぞれの謎を解き明かすようにレポートしてゆく。巣鴨プリズンや陸軍中野学校など、今はきれいな場所になっている。そこで起こった忌まわしい事実を、「光を当てて見えなくする」ように、権力者は都合の悪いことは隠そうとする。
 隠れたものを知ることこそ、「戦争を反省する」ことである。この特番には、被害者意識としての戦争ではなく、加害者側の視点で説き明かす意味あるドキュメンタリーである。
(講評担当:三原治)
【企画賞】 「プレバト!!」の制作放送MBS
 辛口査定で人気を集めている講師役、夏井いつき先生の憎めないキャラクターを充分に活かしながら、梅沢富美男を始めとする人気芸能人が詠む俳句を、互いに競わせながら、視聴者をなるほどと思わせるような、劇的に変わる添削など、視聴者の知的好奇心を満足させるバラエティー番組の一級品である。
 俳句をはじめ水彩画、生け花など、日本古来の文化を正面から取り組み、視聴者の支持を得た、その卓越した企画力、演出力は放送文化のさらなる多様性を開発したことを、高く評価したい。
(講評担当:新山賢治)
【特別賞】 杉田成道
 倉本聰と組んだ「北の国から」シリーズや、「君は海を見たか」、「ライスカレー」などを作ってきた杉田さんは、日本映画放送社長としてオリジナル時代劇の制作を推進し、8Kで撮影した・仲代達矢主演の「帰郷」で20作を数える。
 自ら監督を務めたのは「帰郷」で3作目に当たる。2018年には、ニッポン放送のラジオドラマ「ストリッパー物語」の演出に挑み、放送文化基金賞優秀賞に選ばれた。また、2003年から2015年までの長きにわたり、日本映画テレビプロデューサー協会会長を務めた。
 映画は「優駿 ORACION」、「最後の忠臣蔵」、「ジョバンニの島」(原作・脚本)などを手がけた。杉田の多彩な活動は、この特別賞に値する。1943年生まれ、76歳。
(講評担当:西村与志木)
【特別功労賞】 故 堀川とんこう
 堀川とんこうさんは「放送人の会」の副会長として、また当会の主催する「放送人グランプリ」の審査委員長として大きな功績を残されました。「放送作品としてどれだけの価値があるのか」という厳しくも優しい視線で評される姿は心に深く残っております。
 1961年にTBSに入社し山田太一さん脚本の「岸辺のアルバム」、市川森一さん脚本、竹下景子さん主演の「モモ子シリーズ」など、数多くのテレビドラマ手掛けました。 松本清張原作「父系の指」でギャラクシー賞大賞、退職後に演出した東日本大震災をテーマにした「時は立ちどまらない」で文化庁芸術祭大賞、放送人グランプリを受賞。その続編でもある山田太一スペシャルドラマ「五年目のひとり」で放送人グランプリ特別賞を受賞しています。
 素晴らしい作品群を残された堀川とんこうさんを称え、「放送人の会」に大きな貢献をされたことを謝し、ここに特別功労賞を送りたいと思います。
(講評担当:西村与志木)

放送人グランプリ2020(第19回) コロナ過により贈賞式と懇親会は中止としました。

放送人グランプリ2019(第18回)
【グランプリ】 北川 悦吏子(脚本家)
NHK連続テレビ小説(2018年度前期)「半分、青い。」の脚本の力を高く評価したい。
北川悦吏子さんは1990年代後半から2010年にかけて「あすなろ白書」や「ビューティフルライフ」などのヒット作を書き、<恋愛の名手>と呼ばれたが、難病と闘いながら執筆を続けた。
「半分、青い。」の中で、ヒロイン楡野鈴愛(永野芽郁)が、片方の耳が聞こえないという障害を持ちながら、雨の中、傘の音を聞きながら「空の半分には雨が降っていない。半分、青い。」というシーンには、作者自身の難病の体験が踏まえられている。
「半分、青い。」の世界は1971年~2011年までの40年間の時代を映し出した、優れた青春ドラマであり、作家、北川悦吏子の半生を投影した傑作であるとして、グランプリを贈りたい。
(講評担当:西村与志木)
【準グランプリ】 「ポツンと一軒家」ABCテレビ
衛星写真で見つけた山奥にポツンとある一軒家。どんな人が住み、どんな暮らしをしているのか。端的で明解なこの企画が、日曜日の20時台という目抜き通りで、多くの視聴者を惹き付けた。
一軒家に辿り着くまで、険しい山道を行くスリル、誰がそこに居るのか、不安と危険が一杯のサスペンス、地元の素朴な人情にも助けられ、優れたドラマを見る様である。
やっと出会えた一軒家の住人は、皆それぞれに人生の明暗を経てきたヒューマンストーリーを持っていた。なんの飾りもない生の声からその豊かなキャラクターが伝わってくる。奥深い山で、奥深い哲学、祖先からの系譜、市井の日本人が見える、なんとも奥深いドキュメントである。
限界集落、老いと病、孤独死…、背後にある厳しい現実を背負いながら、番組は、決して声高に叫ぶことも、押しつけがましさもなく、淡々と逞しく生きている住人たちを描出する。観る人に様々な想いと感動を起こさせる一級品である。
番組ⅯⅭの所ジョージ、林修とゲストのスタジオトーク、地味な現場の取材ディレクターをはじめとする全ての制作スタッフ・キャスト、その努力に拍手である。
(講評担当:佐々木彰)
【優秀賞】 「森本毅郎・スタンバイ!」TBSラジオ
1990年4月スタート以来30年、今も首都圏ラジオで放送し続けている、“朝番組の金字塔” です。
キャスターの森本毅郎さんの存在感、アシスタントの遠藤泰子さんの安心感、充実のコメンテーター陣、スタッフ全員のチームワークの良さが魅力です。聴取率も常に好調で、首都圏では毎回1位~3位を占めており、報道番組の手本となっています。
朝はラジオのゴールデンタイム。早朝の時間帯が好調であれば、その放送局を続けて聴くのがラジオです。
つまり、朝を制する局が聴取率の勝者となります。首都圏の聴取率調査で、17年以上、首位をキープするTBSラジオの、まさに原動力となっている番組です。
6時30分から8時30分まで、ニュースに真正面から向き合い、コメントは直球勝負。常に庶民感覚の目線を忘れない「聞く朝刊」です。取材の最前線で活躍する日替わりコメンテーターを森本さんが巧みにリードし、時の政権も厳しく批判し、ズバリとモノ申します。6時57分からの「朝刊読み比べ」は、森本さんが朝刊各紙を2分間で縦横ぶった斬り。朝から胸の奥がスッキリします。 7時からは、日替わりのコメンテーターによる、切れ味鋭い解説コーナー「ニュースズームアップ」。経験豊富なジャーナリストが、本物の情報とその見方を示してくれるので、自分の視点を持つ上で、聴いて得した気分になれる番組です。長きに渡りバランス感覚に優れた報道番組を放送し続ける功績を称えます。
(講評担当:三原 治)
【企画賞】 「チコちゃんに叱られる!」NHK
視聴者の好みも細分化され、もはや3世代揃って楽しめる番組は不可能かと誰もが思っていたところへ、突如現れた5さいの女の子チコちゃんは「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と日本国民を打擲し、目覚めさせてくれました。人形劇、着ぐるみというNHKの伝統にCGという最先端の技術を融合させ、懐かしくも新しい、視聴者に愛される番組を企画したことに対してーー。
5さいの女の子チコちゃんが、質問に答えられないと、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とオトナを叱る雑学バラエティ番組「チコちゃんに叱られる!」。5さいらしからぬ語彙力と巧みな表現力、可愛くもくせの強いチコちゃんに日本中が魅了されました。テレビから生まれた平成最後のスター・チコちゃんは瞬く間に人気者に。おかっぱの髪型やおませな口ぶりに、昭和の香りを感じさせながらも、CGを駆使してくるくる変わる表情に視聴者は驚かされました。緻密な取材力と遊び心満載の演出。その塩梅がちょうどよく、視聴者も「チコちゃんワールド」に引き込まれ、気がつけば誰もが5さいに、テレビと視聴者が共犯関係になる楽しさを、久々に思い出させてくれました。
知識を問うのではなく、日常の気づきを話題にすることで、小さな子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、3世代がファミリーで楽しめる番組です。
(講評担当:桧山珠美)
【奨励賞】 下村幸子(NHKエンタープライズEP)
BS1スペシャル「在宅死“死に際の医療”200日の記録」(NHK-BS1)などの優れた番組制作による。
医療費拡大に悩む政府は、患者の在宅治療を勧めるが、その背後には様々な課題が横たわっている。下村幸子(さちこ)さんは、人間の在宅死とその背景を探って一人カメラを回す。番組の中心は全盲の娘を一人残して死んでゆく老人と、森鴎外の孫のベテラン訪問医の話である。肺がん末期の父親の世話をするのは全盲の娘。医師はその娘に父親の病状については専ら語り、患者との会話はほとんど庭先の百目柿の熟し具合と季節の移ろいの話である。 
それが命の終焉を迎える微妙な感情を伝えて胸を打つ。下村さんは人間誰しも直面する死に際の医療の複雑な問題に、改めて丁重に光を当てた。
(講評担当:河野尚行)
【特別賞】 相田 洋(フリープロデューサー&ディレクター)
NHKの相田 洋(あいだ ゆたか)ディレクターが、独自の感性と野心とで南米移民船の同乗取材を試み、ドキュメンタリー番組『乗船名簿AR-29』で好評を得たのは1968年。以来相田氏は、10年毎に、移住者たちを現地に訪ね、新天地開拓に励む入植実態の紆余曲折を定点レポートして、注目されてきました。
その稀有な長期取材が満50年を迎え、今回『50年目の乗船名簿』4部作に集約されて、昨年末からNHK・Eテレで全4回を放送しました(12/29・1/5・1/26・2/2)。相田氏は、NHK在職中、旺盛な好奇心と精力的な制作手腕で、ヒューマン・ドキュメントから現代科学文明分析まで幅広い番組作りで活躍し、その特異な存在感で名を馳せましたが、中でもこの<乗船名簿>シリーズは、定年退職後20年余りも取材を継続する入魂ぶりで、文字通り氏のライフワークとなりました。
作品は、日本という国の半世紀の激動と切実に絡み合う庶民史の明暗を活写し、人間の営為や社会そのものへの感慨を呼び起こす大河ドキュメンタリーです。内容は目配り広く実証的で資料性も優れ、放送史上特記に価するユニークな成果の一つと言えます。相田氏は83歳。今なお衰えを知らない独立独歩の気概と記録への執念は、同輩・後進を問わず範となり、賞讃に価します。
(講評担当:鈴木典之)
放送人グランプリ2018(第17回)
【グランプリ】 NHKスペシャル
「戦慄の記録 インパール」(8/15、19時30分~、73分)
「本土空襲 全記録」(8/12、21時00分~、49分)
「731部隊の真実~エリート医学者と人体実験」(8/13、21時00分~、49分)
「樺太地上戦 終戦7日間の悲劇」(8/14、20時00分~、43分)
“戦争を知らない子供たち”世代の年長者は今年74歳になる。この世代にとっても、連続4夜のNHKスペシャルの衝撃は大きかったに違いない。
空から石油をまいて火をつけたように都市が焼かれた『本土空襲 全記録』、中国人を人体実験に供した『731部隊の真実』、樺太にソ連軍が侵攻する『樺太地上戦 終戦7日間の悲劇』、そして白骨街道インパールの惨劇『戦慄の記憶インパール』は、戦争の無残さを存分に伝えました。その編成・制作陣の洞察力と熱意をたたえ表彰いたします。
【準グランプリ】 「オールナイトニッポン」50周年(ニッポン放送)
1967年にスタートから50年、深夜放送が若者文化を生んだ金字塔です。この番組が蒔いた新しい才能の種は、多くの分野で花開き、若者文化のみならず、日本の新たなカルチャーを作りました。歴代制作者のフロンティア精神と先見性は卓越しており、ラジオ文化の発展に寄与していることをたたえ表彰いたします。
【優秀賞】 日露共同制作・BTV開局20周年記念特別番組
「ゴンザ~世界最初の露日辞典を作った男~」(BTV)
300年前、ロシアで露日辞典が発刊され、日本語学校が創設されました。 それには、嵐のためカムチャツカ半島に漂着し、日本に戻れなかった、薩摩の少年「ゴンザ」が携わりました。ゴンザのロシアでの軌跡を追った番組は、地域の歴史を再発見すると共に、ユニークなロシア紀行番組を作り上げることになりました。
その独創性をたたえ表彰いたします。
※BTV 宮崎県都城市を中心にグローバルに展開するケーブルテレビ局
【優秀賞】 特集ドラマ 「眩(くらら)~北斎の娘~」(NHK)美術スタッフ
非常に完成度の高い、4K制作のドラマでした。加藤 拓の演出、宮崎あおいらの演技と並んで、とりわけ賞賛に値するのがその美術です。 照明と相まって<陰影>を象徴的に表現した大道具や、小道具の浮世絵の緻密さなどから、スタッフの作品に対する熱い想いを感じさせました。 その労をたたえ表彰いたします。
※ 原作:朝井まかて 「眩」、脚本:大森美香、演出:加藤拓、制作統括:佐野元彦
【特別賞】 小林 克也
1970年にDJデビューして以来、48年にわたりラジオ界、テレビ界の第一線を走り続け、喜寿を迎えた現在も、約9時間の生放送『FUNKY FRIDAY』(NACK5)を始め7本の番組を持っています。まさに、“KING OF DJ” として、放送業界に多大な貢献をした功績をたたえ、特別賞を贈ります。
【企画賞】 「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」(テレビ東京)
この作品は「池の水を全部抜く」という単純な仕掛けで、大量発生している外来種を駆除しただけでなく、住民の地域への愛着を呼び覚ます好結果をもたらしています。 「世界の果てまで行かなくても、ワクワクはある!」という企画の発想は、他の規範となるものであることから、企画賞を贈ります。
放送人グランプリ2017(第16回)
【グランプリ】 池端 俊策(脚本家)
池端脚本には3つの力(ちから)が溢れている。魂を貫く愛に満ちた表現力、人間に対する観察力、登場人物や事態を少しシニカルに見る批判力。 授賞理由となった「夏目漱石の妻」、「百合子さんの絵本~陸軍武官・小野寺夫婦の戦争~」の脚本も然りである。第16回を迎える「放送人グランプリ」において、脚本家を個人で初めて表彰します。
【準グランプリ】 NHKスペシャル「ある文民警察官の死 ~カンボジアPKO23年目の告白~」(NHK)
23年前、カンボジアPKO(国連平和維持活動)に参加した警察官が銃殺されていたことが、この番組で初めて明らかになった。折しも自衛隊の南スーダン派遣が取沙汰されている中での時宣を得た企画で、安保政策が大転換した今、優れた問題提起ドキュメンタリーとして表彰します。
【優秀賞】 延江 浩(エフエム東京 プロデューサー)
池上彰氏の情報整理能力、インタビュー能力をフル回転させて、総選挙開票速報を新しい切り口で知的エンターテインメント番組に仕上げ、選挙のあり方、政治の本質を的確に衝いて、選挙報道を大いに進化させた。
【優秀賞】 NNNドキュメント「お笑い芸人vs.原発事故 マコ&ケンの原発取材2000日」(日本テレビ)
お笑い芸人「おしどり」の夫婦コンビが、東電本社の原発事故定例記者会見に最多出席し、場違いと冷笑される中、猛勉強による鋭い質問で隠れた真実に光を当て続ける“名物記者”として一目置かれる存在になる。その“草の根”活動ぶりが国際的にも注目される。 「3.11」関連特番中、随一の快作として表彰します。
【特別賞】 山田太一ドラマスペシャル「五年目のひとり」(テレビ朝日)
東日本大震災で家族を失った“ひとり”の中年男を通し、未だ癒えない心の傷、複雑な思いを抱えながら生きることの辛さを巧みに描いた。「もう五年じゃない、まだ五年なんだ」、主人公の叫びが響く。 「時は立ちどまらない」から2年。再び結集し「震災を忘れるな」と警鐘を鳴らしてくれたことに対して特別賞を贈ります。
【企画賞】 「サラメシ」(NHK)
“誰にでも昼が来る” “ランチをのぞけば人生が見える”をキャッチフレーズに、都会のサラリーマンだけでなく、様々な職種の現場に入り込み、仕事の中身や家族と職場の人間模様、更には地域や風土の匂いまで、昼食の中に織り込み飽きさせない。 中井貴一のハイテンションのナレーションも効果的だ。他の食べ物番組の追従を許さない企画力を評します。
放送人グランプリ2016(第15回)
【グランプリ】 国谷裕子
1993年4月から23年間続いた「クローズアップ現代」。これだけの期間を一人のキャスターが務めることはアメリカにおいても例を見ない偉業と言えます。バラエティに富んだ日々のテーマは、キャスター自身が深く学び理解しなければ決して務まるものではありません。23年間このポジションを続けられたご苦労は余人には計り知れないものがあると思います。その功績を讃えると共に、しなやかな中に剛直なパワーを持つジャーナリストとしての今後のご活躍に期待を込めて。
【準グランプリ】 NNNドキュメント'15「シリーズ戦後70年南京事件兵士たちの遺言」(日本テレビ)
現在の政治状況のなかで扱いがデリケートになっている南京事件を、当時の現地部隊の兵士が書いた陣中日記によって丁寧に検証。兵士たちの自筆の文字、克明な内容、スケッチ、生存者による証言などの事実を冷静に積み重ね、事件の実像に迫っていくというドキュメンタリーの揺るぎない姿勢を讃えて。
【奨励賞】 手塚孝典(信越放送)
満州事変以後、日本は中国に多数の移民を送り出した。長野県からは最多数の農民や少年義勇兵が駆り出され、集団自決や残留孤児問題などの禍根を残した。その事実を様々な角度から一貫して追い続け、7本の秀作ドキュメンタリーを制作し続けた業績に対して。
【優秀賞】 NHKスペシャル「新・映像の世紀」(NHK)
映像誕生以後100年の世界ニュース映像を集め、現代史の出来事が"映像の記憶によって転換している事実"を実証して衝撃的であると共に、現今の世界の混乱状態が時代の大転換への予兆であることを洞察し、その方向性をも予見していて感動的です。テレビの特性をいかんなく発揮し、テレビジャーナリズムの良心と自負を示す作品として評価します。
【特別賞】 大沢悠里
1986年から30年間もの長きにわたって、TBSラジオで月曜日から金曜日4時間半の生放送『大沢悠里のゆうゆうワイド』で語り続け、「日本一聴かれているラジオ番組」としての不動の地位を築き上げられました。<人情愛情みな情報>という地道で温かいラジオ精神で、この偉業を達成したことを讃えて。
【企画賞】 「100分de 名著」(NHK)
広く名前は知っているものの手に取って読む機会が少ない世界的名著を適格な紹介者を選び4回100分で紹介し、ともすると埋もれがちな名著を掘り起こす事で現代社会に鋭いメッセージを提起する番組の指針を高く評価する。特に、テロの頻発する時代に向け多くの共鳴者を得た「100分de 平和論」の企画力を讃えて。
【奨励賞】 「人生の楽園」(テレビ朝日)
テレビドラマが普通の人々の普通の暮らしぶりを描かなくなり、若者に迎合しがちな昨今、田舎暮らしや新たな挑戦などの第2の人生をいかに生きるか、様々な人たちの選択を掲示するこの番組は、貴重な大人の解放区として、視聴者の人生にひと時の楽園をもたらした功績に敬意を表して。
放送人グランプリ2015(第14回)
【グランプリ】 「サンデーモーニング」(TBS) 出演者とスタッフ
メディアの報道姿勢の変容が危惧される昨今、落ち着きと中庸を貫くこの長寿番組が輝きを放って、確かな存在感を示しています。メインキャスター・関口宏さんの穏やかな仕切りが、個性派コメンテーターたちの専門分野の知見と自由な発言を絶妙にさばいて、上質な知のサロンの雰囲気を醸しています。28年にわたって確かな制作理念を作り上げてきた出演者とスタッフの努力を讃えます。
【準グランプリ】 「女たちのシベリア抑留」(NHK) 小柳ちひろ
50万人を超えるシベリア抑留者の中に、数百人の女性が含まれていたという事実がこの番組によって明らかになりました。丹念で緻密なインタビューと取材とによって、女性たちが酷寒と飢餓、重労働に耐え抜いて帰国した事情が浮かびあがってきました。証言者はいずれも九十歳前後と高齢ながら、彼女たちの聡明かつ力強い姿は、私たちの胸を強く打ちます。
【企画賞】 日曜劇場「おやじの背中」(TBS) 八木康夫
「おやじの背中」は1クールドラマ全盛期に合って、「父親と子」という一つのテーマで、日本を代表する10人の作家による1話完結のドラマを十本並べるという特筆すべき企画です。八木康夫氏が32歳でドラマプロデューサーとなってからのたゆまぬ努力と実績の証明に他なりません。そのプロデューサーとしての力量を讃えます。
【企画賞】 「パリ白熱教室」(NHK)
今、世界で最も人気の高い気鋭の経済学者をいち早く出演させ、日本の格差社会の分析に新しい視座を提供する連続講座を制作。日本のピケティブームの一翼を担った番組制作者の、時代をとらえる企画力は、大いに賞賛に値します。
【優秀賞】 YBCラジオスペシャル「花は咲けども~ある農村フォークグループの40年~」(山形放送)
NHKが制作・放送している復興キャンペーンソング「花は咲く」に、違和感を表明する被災者が増えています。特に原発事故によって故郷に帰れない人たちから「花は咲いても、花に浮かれてはいられない現実がある」という声が強くなっています。この番組は、福島からの避難者が多い隣県の山形県で、米農家の人たちが40年続けるフォークソンググループ「影法師」が作って歌う「花は咲けども」(2013年発表)に焦点をあてながら、明治以来、国によって見捨てられてきた東北の人びとの歴史と気持ちを見事にすくいあげた、秀逸なラジオドキュメンタリーです。
【優秀賞】 「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ) 古立善之
紀行番組に笑いを融合させた「世界の果てまでイッテQ!」や「月曜から夜ふかし」など、次々と人気番組を企画・演出。また既存のタレントに甘んじることなく、番組発の新しい人材を発掘。幅広い世代に愛されるバラエティ番組を創り出す姿勢と成果を讃えて。
 
放送人グランプリ2014(第13回)
【グランプリ】 テレビ朝日開局55周年記念 山田太一ドラマスペシャル「時は立ちどまらない」(テレビ朝日)制作チーム
東日本大震災が二つの家族に与えた衝撃と喪失感、現実を踏まえて彼らがなお生きようとする努力が、人びとと地域の再生のかなめとして描かれます。よくねられた脚本の視点を最大限生かしながら、感動的なドラマに仕上げた制作チームの熱意をたたえて。
【準グランプリ】 NHKスペシャル「終わりなき被爆との闘い~被爆者と医師の68年~」(NHK広島)制作スタッフ
68年前に浴びた一瞬の放射線が遺伝子を傷つけ、被爆者のなかでいまなお爆発する難病MDSと、それと闘いつづける医師を描いたこのドキュメンタリーは、21世紀のこの国と人びとに重いメッセージを投げかけています。それを掘り起こした制作スタッフに敬意を表して。
【優秀賞】 土曜ドラマ「足尾から来た女」制作スタッフ(NHK)
すぐれたテレビドラマは、物語の豊かさと時代への認識を刺激し、ある種の報道性を帯びてきます。「よく見ておけ、これが今の日本だ」という田中正造のセリフが、そのまま現在の日本の風景を想起させ、その像は現代の<義人の不在>を告発するかのようでした。
【優秀賞】 ラジオ特別報道番組「原発作業員が語る二年」(毎日放送)森崎俊雄
高い放射能量、五次六次という下請け構造のなかで働く原発作業員たちの声を、ラジオという特性を生かし、福島原発の事故と現在としてみごとに描き出しました。大阪から現地へ通い続けたねばり強い報道姿勢に敬意を表して。
【企画賞】 「Youは何しに日本へ?」(テレビ東京)制作チーム
成田空港に到着した外国人を同行取材し、海外へ行かずに国際色あふれる番組を作り出す、知恵と労力と柔軟な発想による企画の勝利です。あらためて日本文化・日本の良さに気づかせてくれる点でも、テレビ東京らしさあふれる番組で私たちを楽しませてくれたことに敬意を表して。
【企画賞】 NNNドキュメント'13「離島ナース 医師のいない厳冬を守る」(山形放送)制作スタッフ
島民の大半が高齢者という山形県酒田市沖の離島で、テレビ電話だけをたよりに医師と患者をつなぐ看護師二人。厳冬の海と冬の鳥海山の美しさは、離島医療の貧困と対照的でした。地域をみつめた佳作ドキュメンタリーに敬意を表して。
【特別賞】 倉澤 治雄
ジャーナリストとしての長い経験を活かして、福島原発事故に精力的に取り組み、そのかかえる幾多の問題点を明快に解説するとともに、するどい問題提起を行ってこられました。その科学ジャーナリストとしての姿勢と実績に敬意を表して。
【特別賞】 宮﨑 賢
ハンセン病療養者の療養施設だった岡山の長島愛生園を、カメラマンとして一九七〇年代から40年間撮りつづけ、数々のドキュメンタリー番組、ニュース特集を世に送り出して、ハンセン病に対する社会の偏見と差別を告発しつづけました。そのライフワークに畏敬の念をこめて。
放送人グランプリ2013(第12回)
【グランプリ】 NHKスぺシャル・シリーズ東日本大震災「追跡 復興予算19兆円」制作スタッフ(NHK)
東日本大震災復興予算19兆円の行方を追い、5万ページを超える資料を精査して震災とは無関係の事業に多額の予算が使われていることを暴き、日本の官僚機構の体質を喝破した優れた調査報道。
【優秀賞】 「復興の狭間で~神戸まちづくりの教訓」西村美智子(朝日放送)
神戸市長田区で阪神淡路大震災の後の再開発ビルが商店街の人々の生活を押し潰している実態を描きつつ、同じ公共事業の冷酷さが被災地・気仙沼市に襲いかかろうとしている様子を生々しく捉えた警告ドキュメンタリー。
【奨励賞】 「衆院選スペシャル・池上彰の総選挙ライブ」特別番組チーム(テレビ東京)
池上彰氏の情報整理能力、インタビュー能力をフル回転させて、総選挙開票速報を新しい切り口で知的エンターテインメント番組に仕上げ、選挙のあり方、政治の本質を的確に衝いて、選挙報道を大いに進化させた。
【奨励賞】 「全日本なまり歌トーナメント」制作スタッフ(テレビ朝日)
誰でも知っている名曲を歌い手自ら方言に直して熱唱するというユニークな番組を制作し、『訛りっていいな』という思いが人々に伝わり、地方文化への愛と尊敬の念を表現した企画制作。
【企画賞】 NHK東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」制作スタッフ
東北出身のタレントたちが歌いつなぐ一つのメロディーが、被災地に届き、人々が口ずさみ、甲子園球児の行進曲にまでなった。『花は、花は、花は咲く、いつか恋する君のために』の歌詞を通して改めて歌の力、放送の力を知らせた。
【特別賞】 「希望の翼~あの時、ぼくらは13歳だった」制作スタッフ(テレビ神奈川)
日本統治下の朝鮮で芽生えた二人の少年の友情が、41年後の再会で復活、両国の文化交流に尽くす実話を、すぐれた日韓共同制作ドキュメンタリードラマに結実させた。
【特別賞】 「BS歴史館」の司会・渡辺真理(NHK)
研究者や各界の歴史好きが薀蓄を傾ける座談形式のこの番組における旺盛な好奇心に目を輝かせ、巧みな会話さばきでゲストの口を滑らかにする司会ぶりが、新しい歴史番組ファンをつくりだしている。
【特別功労賞】 音響効果への長年の貢献・玉井和雄
火の鳥の飛翔の音、日食の音など、現実には音のないものにまで広げた効果音の世界を作り出し、『音の匠』として、他の追随を許さない豊かなイメージの世界に挑みつづけてきた功績。
放送人グランプリ2012(第11回)
【グランプリ】 増田秀樹様(NHK)
あなたは、ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」「原発事故への道程」シリーズで、大地と海が深く傷ついている原発事故の実態と、日本の原発安全神話が作られた政治的経済的プロセスを、するどく描き出しました。その得がたい成果を讃えて。
【準グランプリ】 岩城浩幸、秋山浩之と73人の記者の皆様(TBS、JNNネットワーク)
あなたがたは「3.11大震災~記者たちの眼差し」で、各局の若手記者たちの主観的で個人的なリポートをあえて多数積み重ね、震災の惨状と深刻な意味を客観報道とはちがう生々しさで伝えました。その新鮮な手法の成功を讃えて。
【特別賞】 ドラマ「カーネーション」制作スタッフ様(NHK)
連続テレビ小説の常套的なヒロイン像を大胆に打破、だんじりの上で命がけの跳躍をする大工方のイメージそのままのユニークなヒロインを作り出すとともに、戦争や死の描き方も単なる情緒的表現をこえて新鮮なものがありました。制作スタッフによるその成果を讃えて。
【奨励賞】 登坂琢磨様、竹園元様(毎日放送)
ドラマ「深夜食堂」は、味わいが一色になりがちなテレビドラマ界に、小気味よい新風を送り込みました。映画監督の起用、個性的キャスト、セット細部の凝りようなどがひとつの世界をつくり出し、製作委員会方式によるドラマ制作という試みも成功させました。その成果を讃えて。
【奨励賞】 島修一様(毎日放送)
あなたは、小松左京原作の「日本アパッチ族」を脚色・演出し、ユーモアとアイロニイと恐怖に満ちた魅力的な「鉄になる日」に仕立てました。鉄を食う音、戦闘シーンの効果音などもラジオドラマの可能性を再発見させるものがあります。その成果を讃えて。


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